長野県安曇野市で農場を経営する松村さん。小学生の頃から将来は農場で働きたいと考え、農業高校の畜産科へ入学したそうですが、面白いとは思えず一年で中退。それでも牧場で働く夢は変わらず、全国各地の牧場で牛の飼育、搾乳、分娩、餌づくりから人工授精まで学んだそうです。昼夜を問わず牛たちの世話に没頭する日々の中で、少しずつ矛盾を抱えるようになってしまいます。

「畜糞尿が農地や牧草地に大量投入されるのに、飼料は安い輸入産に頼らざるを得ない。自分の仕事が日本の農地や地下水を汚していく」。

今は家畜糞尿はバイオガスプラントでエネルギー利用という道ができたのですが、当時はまだ現実的な話ではなかったのです。

２０００年に安曇野の牧場で働くことになり、移り住んだ安曇野で一面のりんご畑に出合いました。農家さんからりんごを分けてもらって食べたら「今まで自分がりんごだと思っていた味とは全く別物でした」とその時の感動を語ってくれました。りんご農家になろうと決め、肥料・農薬に頼らない農業を目指すことに。「農場が地球環境の改善に役立つ道はあるはず」と模索するなかで「道法スタイル」という無肥料栽培に出合いました。肥料が自然環境に与える影響の大きさを目の当たりにし、まずは肥料をやめることで、徐々に農薬も必要なくなる術を知りました。

体にいいと環境にいいと美味しいは共存します。まずは味わって、考えてみて欲しい。松村さんの作るりんごは自身が持っている本来の力で甘くなり、酸っぱくなり、素直な味が食べる人に感動を呼びます。ドライにすると素直な味のままギュッと凝縮します。松村さんが作る渾身のりんごと、今まで食べたりんごの味とのギャップをぜひ感じて欲しいです。